SEO内製化の進め方。全部やらずに、内製と外注を作業単位で分ける判断基準

SEO会社に毎月費用を払っているが、何をしてもらっているのか自分の言葉で説明できない。
そろそろ社内でできるようにしたいが、担当者は1人で、他の業務と兼務している。
SEOの内製化を検討する中小企業は、だいたいこの状態から始まります。
そして「全部を社内でやる」と決めた会社から順に止まっていきます。

インハウスSEOの解説記事はたくさんありますが、その多くはマーケティング部があり、複数人を割ける事業会社が前提です。
体制構築、役割分担、KPI設計、社内理解の醸成。
担当者が1人、あるいは社長が兼務している会社では、その前提がそもそも成立しません。
必要なのは体制図ではなく、「どの作業を内製し、どの作業を外に置くか」の線引きです。

この記事では、SEOの作業を4つに分解し、使える工数の条件で内製する範囲を決める判断基準を解説します。
京都で中小企業・個人店のSEO・AIO支援をしている竹田です。
内製化を目標にした伴走支援を実際にやっている立場から、失敗パターンも含めて書きます。

この記事の結論

SEOの内製化は、全部を社内に移そうとすると高い確率で止まります。
作業を「戦略」「執筆」「テクニカル」「計測と判断」の4つに分け、中小企業がまず内製すべきは執筆と計測(数字の確認)です。
使える工数が月8時間なら執筆の内製もまだ早く、月20時間で執筆の内製、専任1人で戦略の内製が視野に入ります。
戦略やテクニカルを外に置くこと自体は問題ではありません。問題は、根拠を受け取らずに預けることです。
最も成果が出にくいのは、内製に向く執筆を外に出し、KW選定と数字の判断は根拠を聞かないまま預けている分担です。
生成AIで下がったのは「書く」ハードルだけで、ボトルネックは判断に移っています。
外注先は納品するだけの相手ではなく、判断の根拠を開示して教える気がある相手を選んでください。

SEOの内製化は全部やると止まる

結論から書きます。
SEOの内製化は、「全部を社内でやる」と決めた時点でほぼ失敗が確定します。
SEOはひとつの仕事ではなく、性質の違う4つの作業の集合だからです。
4つ全部を1人が習得するには年単位の時間がかかり、その間に記事が止まります。

インハウスSEO

SEOの戦略立案から実行までを外部に委託せず、自社内(インハウス)で行うことです。
内製化とほぼ同じ意味で使われます。
求人や支援サービスの文脈では、「インハウスSEO担当者」のように社内の担当者そのものを指すこともあります。

内製と外注は0か1ではない

内製化の議論が止まる会社は、「内製か外注か」の二択で考えています。
正しい問いは「どの作業を内製し、どの作業を外に置くか」です。
外注を全部やめる話ではなく、分担を組み替える話だと捉え直してください。
この捉え直しだけで、内製化のハードルは一段下がります。

なお、サイトに流入も問い合わせもほぼ無い段階なら、内製化の検討より先に原因の切り分けが必要です。
その場合はホームページで集客できない原因を先に読んでください。
誰がやるかを決める前に、何が問題かを特定する方が先です。

SEOの作業は4つに分かれる

SEOの作業は「戦略」「執筆」「テクニカル」「計測と判断」の4つに分解できます。
戦略は、どのキーワードを狙い、どんな記事を作るかを決める作業です。
執筆は、決まったキーワードに対して記事を書いて公開する工程を指します。
テクニカルは、サイトの構造・表示速度・内部設定などサイト側を整える作業です。
計測と判断は、順位や流入の数字を見て、次に何をするかを決めます。

この4つは、必要なスキルも、作業の頻度も、失敗したときのダメージも全部違います。
だから「SEOを内製する」とひとまとめに考えると判断を誤ります。
4つそれぞれについて、内製に向くかどうかを次の章で見ていきます。

SEOの作業を4つに分解した構造図と内製の向き不向き SEOの作業を4つに分解した図。①戦略はどのキーワードを狙うか決める作業で、当面は外に置き、専任を置ける段階で社内に移す。②執筆は記事を書く作業で、月20時間を確保できる段階から内製する。③テクニカルはサイト側の設定で、頻度が低いためどの段階でも外に置いたままにする。④計測と判断は、数字の確認から内製し、判断は段階的に社内へ移す。 SEOの作業は4つに分かれる ① 戦略 どのKWを狙うか決める 間違えると全部が無駄になる 当面は外に置く ② 執筆 記事を書いて公開する 量が要るので内製の効果が大きい 月20時間から内製 ③ テクニカル サイト側の設定と修正 頻度が低く習得が割に合わない 外に置く ④ 計測と判断 数字を見て次を決める 計測から内製し判断は段階的に 計測から内製 内製は④計測から、次に②執筆。①戦略は専任段階で社内へ、③テクニカルは外のまま
図1:SEOの作業の4分類と内製の向き不向き(筆者が支援で使う整理)

インハウスSEOで内製に向く作業

中小企業が内製の対象にすべきなのは、執筆と、計測(数字の確認)です。
戦略とテクニカルは、外部の力を借りた方が、かけた時間の回収が早くなります。
ただし執筆をいつから内製できるかは使える工数で決まるので、その時期は次章で段階を分けて示します。
まず4分類ごとの向き不向きを表で示します。

作業中身内製との相性
戦略狙うKWと記事の方向を決める外に置く(間違いのダメージが大きい)
執筆記事を書いて公開する内製に向く(量が必要で費用が積む)
テクニカルサイト側の設定・修正外に置く(頻度が低く習得コストが見合わない)
計測と判断数字を見て次を決める計測は内製、判断は徐々に社内へ

執筆と数字の確認は内製に向く

執筆が内製に向く理由は2つあります。
1つは量の問題で、記事は継続的に必要になるため、外注し続けると費用が積み上がります。
もう1つは中身の問題で、自社の顧客が実際に使う言葉や質問を知っているのは社内の人間だけです。
外部ライターがどれだけ上手くても、現場の一次情報は社内からしか出てきません。

計測のうち「数字を確認する」部分も内製に向きます。
Google Search Console(サーチコンソール)で表示回数と順位を月1回確認する作業は、半日ほど教われば運用に乗ります。
一方で「数字を見て次の一手を決める」判断は、経験が要るので最初から内製はできません。
まず見る習慣を社内に作り、判断は外部に相談しながら半年から1年かけて引き取る、という順番が現実的です。

戦略とテクニカルは外に置く

戦略を外に置く理由は、間違えたときのダメージが大きいからです。
狙うキーワードの選定を誤ると、その後に書く記事が全部無駄になります。
執筆の失敗は1本の損失で済みますが、戦略の失敗は半年分の損失になります。
頻度も低く、キーワード選定は四半期に1回見直せば十分です。
年に数回の作業のために習得の時間をかけると、回収が合いません。

テクニカルSEO

記事の中身ではなく、サイト側の技術的な状態を整える施策のことです。
表示速度の改善、インデックスの管理、構造化データの設定、内部リンク構造の設計などを指します。
一度整えれば触る頻度は低いものの、習得には専門知識が必要になります。

テクニカルも同じ理由で外に置きます。
最初に一度整えれば、その後は大きな変更のときだけ見直せば済む作業です。
年に数回しか使わないスキルを、担当者1人の会社が習得するのは割に合いません。
スポットで診断と修正を依頼し、何をなぜ直したかの説明だけ受け取る形が効率的です。

根拠を聞かずに預ける形が一番危ない

問題は、多くの会社が内と外を逆にしていることです。
内製に向く執筆を外に出し、社内に残すべき判断の根拠は受け取っていない、という分担です。
戦略やテクニカルを外に置くこと自体は問題ではありません。問題は、根拠を受け取らずに預けることです。
この記事では、根拠を受け取らないまま預けることを「丸投げ」と呼びます。
丸投げになると、社内に残るのは「公開された記事」だけで、判断の能力が一切育ちません。
外注をやめた瞬間に、何をどう続ければいいか分からなくなり、ゼロに戻ります。

筆者

竹田康平

支援の相談で一番よく見るのが、記事だけ外注して根拠は聞かない、この形です。
そして一番成果が動かないのもこの形です。
どのKWをなぜ狙うかも、出た数字の意味も、全部外注先の頭の中にあります。
これでは記事が増えても会社には何も蓄積されません。
内製化を考えるなら、書く作業より先に「判断の根拠を社内に残す」ことから考えてください。

使える工数で決める3つの段階

どこまで内製できるかは、やる気ではなく使える工数で決まります。
目安は「月8時間」「月20時間」「専任1人」の3段階で、専任1人は月40時間以上を常時確保できる状態を指します。
まず、記事1本にかかる時間を分解しておきます。
外部と作ったキーワードのリストから1本を選び、検索意図の確認と構成を組むのに2〜3時間、執筆に3〜5時間、装飾と入稿に1時間で、合計すると1本あたり6〜9時間が目安です。
狙うキーワードを決めること自体は戦略の作業なので、この6〜9時間には含めていません。
公開後の計測は記事単位ではなく、サイト全体で月30分程度を見ておいてください。

内製化のコストを外注費とツール費だけで比べると、内製が安く見えます。
しかしこの比較には、社内の人件費相当と学習期間が抜けています。
月20時間の内製は、担当者の稼働20時間を他の業務から外すという意思決定です。
比べるべきは金額ではなく、「外注なら社内工数は月何時間で済むか」と「内製なら月何時間必要か」です。
外注の金額感と線引きの費用面はAIO対策の費用相場と内製・外注の線引きに詳しくまとめています。

作業外注したときの社内工数(目安)内製したときの社内工数(目安)
戦略四半期に1回の読み合わせで1〜2時間習得に半年以上、以後も四半期ごとに数時間
執筆情報提供と確認で1本あたり1時間前後1本あたり6〜9時間(書き慣れるまで10本前後)
テクニカル依頼と確認で年に2〜3時間習得に数十時間、使うのは年に数回
計測と判断報告を受けるだけなら月30分数字の確認に月30分、判断が育つまで半年から1年

ハイライトした側が、この記事で推奨する置き方です。
テクニカルはどの段階でも外に置き、戦略は専任1人を置ける段階になってから社内に移す前提で読んでください。

注意

「社内でやればタダ」という計算は必ず破綻します。
担当者の時間は他の業務から借りてきたものです。
内製化の判断は金額ではなく、毎月確保できる時間で行ってください。
時間の裏付けがない内製化の決定は、3か月前後で更新停止という形で表面化します。

使える工数別に内製する範囲と外に置く範囲を分けた3段階 使える工数別の内製範囲の図。月8時間・専任なしの段階では数字の確認と外注への依頼出しを内製し、戦略・執筆・テクニカルと判断の相談先は外に置く。月20時間・兼務1人の段階では執筆と数字の確認を内製し、戦略とテクニカル、判断の相談先は外に置く。専任1人で月40時間以上を常時確保できる段階では戦略・執筆・計測と判断を内製し、テクニカルの診断と修正だけ年数回のスポットで外に依頼する。 工数別・内製する範囲と外に置く範囲 内製する範囲 外に置く範囲 月8時間 専任なし 数字の確認と 外注への依頼出し 戦略・執筆 テクニカル 判断の相談先 月20時間 兼務1人 執筆(月2本)と 数字の確認 戦略・テクニカル 判断の相談先も残す 専任1人 工数を常時確保 月40時間以上が目安 戦略・執筆 計測と判断 テクニカル(診断と修正) 年数回のスポット依頼
図2:使える工数別の内製範囲の3段階(筆者が支援で使う目安)

月8時間なら内製より外注で当てる

専任がいなくて、確保できる時間が月8時間程度なら、執筆の内製はまだ成立しません。
記事1本に6〜9時間かかるので、月1本書くだけで工数が尽き、学習にも計測にも時間が回らないからです。
この段階の正解は、本数を落として、1本を外注で確実に当てることです。
社内の8時間のうち2時間ほどを、数字の確認と、外注先への情報提供(顧客の質問や現場の事例を渡す)に使ってください。
残りの6時間は、顧客からよく聞かれることと現場で起きた事例を書き出す時間に充てます。

この使い方なら、8時間でも内製化の準備になります。
数字を見る習慣と、自社の一次情報を言語化する練習は、後で執筆を内製するときの土台になるからです。
「時間がないのに書き始める」のが、この段階で一番やってはいけないことです。

月20時間で執筆の内製が成立する

月20時間を確保できるなら、執筆の内製が成立し始めます。
1本6〜9時間として月2本が基本のペースです。
書き慣れて1本6時間前後に短縮できるようになれば、月3本まで届きます。
ただし条件が2つあります。
1つは記事の型(テンプレート)があること、もう1つは狙うキーワードのリストを外部と一緒に作ってあることです。
この2つがないと、毎回ゼロから考えることになり、1本あたりの時間が倍になります。

この段階でも、戦略の見直しと数字の判断は外部に残してください。
四半期に1回、キーワードの選び直しと数字の読み合わせだけ外部に依頼する形なら、費用は執筆ごと外注する場合より大きく下がります。
書くのは社内、方向の確認は外部、という分担です。
数字を読める人がまだ社内にいない場合も、数字の確認そのものは社内で続けてください。
確認は社内で、読み方は外部と一緒に学ぶ、という形にすれば、月8時間の段階から地続きで進められます。

専任1人なら戦略まで内製できる

専任の担当者を置けるなら、戦略の内製が視野に入ります。
ただし専任を置いた初日から戦略を内製できるわけではありません。
順番は、執筆で型を身につける、数字を毎月読む、外部の判断の根拠を毎回聞く、の3つを半年から1年続けてからです。
判断の根拠を聞き続けた担当者だけが、自分で戦略を立てられるようになります。

どの段階から始めるかは、次の3つの問いで判定できます。
専任を置けるか、月20時間を確保できるか、数字を読める人が社内にいるか。
この順に確認して、自社の開始地点を決めてください。

内製化の範囲を決める判定フロー(3つの問い) 内製化の範囲を決める判定フロー。専任の担当者を置けるなら、段階を踏んで戦略まで内製する。置けない場合、月20時間を確保できなければ執筆は外注に置き、数字の確認は外注と一緒に始める。月20時間を確保でき、数字を読める人が社内にいないなら、執筆を内製し、数字の確認は外注と一緒に続ける。読める人がいるなら執筆と計測(数字の確認)を内製する。テクニカルはどの段階でも外に置く。 内製化の範囲を決める判定フロー Q1 専任の担当者を置けるか 段階を踏んで戦略まで内製 はい いいえ Q2 月20時間を確保できるか 執筆は外注に置き 数字の確認は外注と 一緒に始める いいえ はい Q3 数字を読める人が社内にいるか 執筆を内製し 数字の確認は外注と 一緒に続ける いいえ はい 執筆と計測(数字の確認)を内製する ※テクニカルはどの段階でも外に置く
図3:内製化の開始地点を決める判定フロー(筆者が実務で使う判定基準)

内製化して失敗する5つのパターン

内製化の解説記事は成功手順ばかりで、失敗の形がほとんど書かれていません。
実際に起きる失敗は次の5つに集約されます。
この5つが、内製化が止まる原因のほぼすべてです。

①担当者が辞めて全部止まる。
②書けるが直せない。
③外注をやめた月から本数が落ち、半年後に元に戻る。
④社内の合意形成に時間を使い、記事が出ない。
⑤ツールを先に契約して使わない。

5つに共通するのは、「作業の分担」ではなく「続く仕組み」の欠落です。
このあと①②を見出しで扱い、④⑤は準備の問題としてまとめて扱います。
③は外注の切り替え方の問題なので、注意として補足します。
内製化に限らず成果が止まる原因の全体像はAIO・SEOで成果が出ない原因で解説しています。

担当者が辞めると全部止まる

最も多い失敗が属人化です。
キーワードのリストも、記事の書き方も、数字の見方も、全部担当者の頭の中にあります。
その担当者が退職や異動でいなくなると、引き継げるものが何も残っていません。
後任は何をどこから始めればいいか分からず、更新が止まります。

担当者が1人の会社では、属人化はある程度避けられません。
だからこそ、後述する台帳・型・履歴の3点だけは最初に作っておく必要があります。
この3点があれば、人が変わっても1回の引き継ぎで再開できます。

書けるのに直せない状態が続く

執筆の内製に成功した会社が次にはまるのがこれです。
記事は月2本出せています。
ただ、順位が付かない記事をどう直せばいいか分かりません。
書くスキルと直すスキルは別物で、直すには数字を読む力が要るからです。

この状態を放置すると、動かない記事の上に新しい記事を積み続けることになります。
対策は、公開した記事の表示回数と順位を月1回記録し、3か月動かない記事について外部に「なぜ動かないか」を聞くことです。
質問と回答を繰り返すことでしか、直すスキルは育ちません。

注意

外注を一気に全部切らないでください。
内製に切り替えた月から記事の本数が落ち、社内の執筆が軌道に乗る前に流入が減り始め、半年後に「やっぱり外注に戻す」となるのが典型パターンです。
切り替えは段階的に、3か月は外注と内製を並走させてください。
並走期間の外注費は、保険料だと考えると判断しやすくなります。

準備に時間を使って記事が出ない

社内の合意形成やツール選定から始める会社も止まります。
体制図を作り、稟議を通し、キックオフをして、比較検討の末にツールを契約します。
ここまでで3か月使い、記事は1本も出ていない、という状態です。
SEOの成果は公開した記事からしか生まれないので、準備の充実は成果に直結しません。

ツールの先行契約も同じ構造です。
順位チェックツールや分析ツールは、見る習慣がない状態で契約しても使われません。
最初の3か月はSearch ConsoleとGoogleアナリティクスの無料の範囲で十分です。
月1回の確認が3か月続いたら、そこで初めて有料ツールを検討してください。

筆者

竹田康平

順位チェックツールを契約したのに、画面を一度も開かないまま更新月が来た、という相談を実際に受けたことがあります。
ツールが悪いのではなく、見る習慣より先に契約したのが原因です。
「誰が、毎月何日に、どの数字を見るか」を決めてから契約してください。
順番はこれだけの話です。

内製化の前に、サイトの現在地を数値で確認する

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属人化を防ぐ最小限の3つの仕組み

属人化対策として最初に作るべきものは、体制図でもマニュアルでもありません。
キーワード台帳1枚、記事の型1つ、変更履歴の日付、この3つだけです。
この3つがあれば、担当者が変わっても更新は止まりません。
逆に、大がかりな整備から始めると、記事が出ないまま内製化が終わります。

台帳・型・変更履歴だけ先に作る

  1. キーワード台帳を1枚作るスプレッドシートに「狙うキーワード・担当記事のURL・公開日・現在の順位」の4列だけ作る。狙いと現状が1枚で分かる状態にする。所要1〜2時間。
  2. 記事の型を1つ作る見出しの並び・リード文の書き方・結論の置き方を、既存の一番良い記事から抜き出してテンプレート化する。書く人が変わっても品質が揃う。所要2〜3時間。
  3. 変更履歴に日付を残す記事を直したら「いつ・どのURLを・何を変えたか」を台帳に1行追記する。順位が動いたとき、原因の特定が日付からできるようになる。所要は1回1分。

3つ合わせても、初期投資は半日から1日です。
この数時間を惜しんで頭の中だけで運用すると、担当者の異動と同時に全部が消えます。
内製化の初日にやる作業として、これ以上優先度の高いものはありません。

筆者

竹田康平

担当者が異動したあと、サイトが更新を始める前の状態まで戻ってしまった会社を見たことがあります。
台帳も型もなく、全部その人の頭の中にあったからです。
逆に台帳が1枚あるだけで、後任への引き継ぎは大幅に短く済みます。
属人化対策に大げさな仕組みは要りません。
1枚のシートが会社の資産になるかどうかの分かれ目です。

マニュアル整備は後回しでいい

詳細な運用マニュアルは、内製化の初期には作らないでください。
運用が固まっていない段階で書いたマニュアルは、3か月で実態とずれて誰も見なくなります。
マニュアル化する価値があるのは、半年運用して手順が安定してからです。
それまでは台帳と型の2点が、実質的なマニュアルの役割を果たします。

ポイント

属人化対策の判断基準は「明日担当者が休んでも、台帳を見れば他の人が状況を説明できるか」です。
これができれば十分で、それ以上の文書化は運用が安定してからで間に合います。
先に作るのは仕組みではなく、記事と数字を見る習慣です。

生成AIでボトルネックが判断に移る

生成AIの登場で、執筆を内製するハードルは明確に下がりました。
ただし下がったのは「書く」作業のハードルだけです。
「何を書くか決める」と「出たものが正しいか判断する」のハードルは、大きくは下がっていません。
最後に自社の事実と照らして決めるのは、いまのところ人だからです。
この非対称を理解しないままAIを導入すると、内製化のボトルネックが執筆から判断に移り、そこで詰まります。

下がったのは執筆のハードルだけ

AIに下書きを任せると、書き出しから初稿までの時間は目に見えて短くなります。
記事の型が固まっていれば、初稿までにかけていた時間は半分以下まで下がることが多い、というのが目安です。
ただし短くなるのは初稿までで、その先の時間は別の場所に移ります。
AIの出力に自社の事実と違う記述がないかの確認、顧客の実際の言葉への置き換え、他社と同じ内容になっていないかの点検です。

この確認と判断ができない状態でAI記事を量産すると、間違いを含んだ記事が自社の名前で公開され続けます。
書けるようになったのに成果が出ない、どころか信頼を削る結果になります。
AI時代の内製化で社内に必要なのは、書く人ではなく、確認して判断できる人です。

AI前提の役割分担に組み替える

AIを入れる場合の分担は、次のように組み替えてください。
下書きはAIに任せ、一次情報(顧客の質問・現場の事例・自社の判断基準)の注入と事実確認は社内が持ちます。
キーワード選定と数字の判断は、引き続き外部と並走します。
社内の役割が「書く」から「注入と確認」に変わるのがポイントです。
短くなるのは執筆の3〜5時間の部分だけで、AIの下書きを直す時間を含めても1〜2時間まで縮みます。
構成の2〜3時間と装飾・入稿の1時間は変わらないので、1本あたりの社内工数は4〜6時間が目安になります。
それでも執筆の内製が成立するのは月20時間からです。
減らないのは事実確認と一次情報を出す時間で、月8時間ではその確認の時間が取れず、確認していないAI記事を出すことになるからです。

もう1つ、検索の側も変わっていることを踏まえてください。
AI Overview(検索結果の上部にAIが生成する回答)のように、検索結果でAIが回答を作る場面が増えています。
従来のSEOとは、評価のされ方が変わりつつあります。
この変化の全体像はAIOとSEOの違いで解説しています。
内製化で身につけるスキルも、従来の検索とAI検索の両方を前提にする必要があります。

ポイント

AI導入後の内製化で判断力を育てる最短の方法は、AIの出力を外部の専門家と一緒に添削することです。
「なぜこの記述を直すのか」の理由を毎回聞けば、確認と判断の基準が社内に蓄積されます。
添削の理由を説明しない外注先なら、この用途には向いていません。

教える気がある外注先の選び方

内製化を目指すなら、外注先の選び方が変わります。
選ぶべきは、良い記事を納品する相手ではなく、判断の根拠を開示して社内に移す気がある相手です。
納品物の品質が同じでも、根拠を開示するかどうかで、1年後に社内に残るものがまるで違います。

判断の根拠を開示する相手を選ぶ

内製化支援をうたうサービスは増えていますが、中身には幅があります。
実態が「記事納品+月次レポート」のままで、判断の過程を見せないものもあります。
見分ける基準は、成果物ではなく過程の開示です。
どのキーワードをなぜ選んだか、数字のどこを見て何を変えると決めたか、を毎回説明してくれる相手なら、契約期間そのものが社内教育になります。

費用が同じでも、開示のある契約とない契約では、外注をやめられる時期が変わります。
根拠の開示がない契約は、いつまで経っても依存が終わりません。
内製化を目的にするなら、開示の有無は費用より重要な比較軸です。

契約前に確認する5つの質問

契約前の商談で、次の5つを直接聞いてください。
回答の中身より、具体的に答えられるかどうかで判断できます。
聞く目的は実力の判定ではなく、内製化を前提にした契約が成立する相手かどうかの確認です。

  • どのキーワードを選んだ理由を、毎回説明してもらえますか
  • Search Consoleの数字の見方を、社内の担当者に教える場はありますか
  • 作業の一部を段階的に社内へ移すことを前提にした契約はできますか
  • 使っているツールの実際の画面を、打ち合わせで見せてもらえますか
  • 月次レポートには、結果だけでなく「次に何をするかの根拠」が書かれますか

5つのうち4つ以上に具体的な答えが返ってくるなら、内製化の相手として検討できます。
「ノウハウなので開示できません」という回答が複数あるなら、納品型の相手です。
納品型が悪いわけではありませんが、内製化の目的には合いません。
目的と契約の型がずれたまま発注するのが、外注選びで一番多い失敗です。

SEO内製化のよくある質問

SEOの内製化にはどれくらいの期間がかかりますか?

執筆の内製が安定するまで、月2本ペースで10本前後(5か月前後)が目安です。
数字の判断が社内でできるまでは半年から1年、戦略まで含めた完全な内製は、専任1人を置いて1年以上かかると考えてください。
期間を短くするより、外注と並走しながら段階的に移す方が失敗しません。

SEO対策を自分で全部やることはできますか?

技術的には可能ですが、兼務の担当者1人では現実的ではありません。
戦略・執筆・テクニカル・計測と判断の4つ全部を1人で習得するには年単位の時間がかかります。
自分でやる範囲は執筆と計測(数字の確認)に絞り、戦略とテクニカルは外部の力を借りる方が、結果的に早く自走できます。

インハウスSEOと内製化は同じ意味ですか?

ほぼ同じ意味です。
インハウスSEOは「社内でSEOを行う体制や状態」を指し、内製化は「外部に委託していた作業を社内に移す過程」を指すことが多いです。
検索するときはどちらの表記でも同じ情報にたどり着けます。

SEO内製化の支援サービスは使うべきですか?

判断の根拠を開示してくれる相手なら、使う価値があります。
独学より習得が早く、間違った方向に進むリスクを減らせるからです。
ただし実態が記事納品とレポートだけのサービスもあるので、契約前に「作業を社内に移す前提の契約か」を必ず確認してください。

外注をやめてよいタイミングはいつですか?

「記事を月2本、5か月続けて社内で出せている」かつ「数字を見て次の一手を自分たちで決められている」の2つが揃ったときです。
ただしここでやめられるのは執筆と判断の相談の外注で、テクニカルは頻度が低く習得が割に合わないので、スポットで依頼する形は残してください。
2つのどちらか一方でも欠けているなら、執筆だけ、または判断の相談だけを残す縮小契約に切り替えてください。

どこから内製するかの判断材料に、まず現状診断を

サイトのURLを入れるだけで、AI検索への対応度を33項目でスコア化します。内製する作業と外に置く作業を決めるには、まず自社サイトの弱点を知ることが出発点になります。スコアを見てから分担を決めれば、限られた工数を無駄にしません。個人情報の入力は不要です。

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竹田康平

竹田康平

京都で屋号「チャメッケ」として、中小企業・個人店のAIO/SEO支援とAI導入支援を行う。自分のサイトでも同じ施策を実践し、検索とAI検索の両方から見つけてもらう状態を検証している。
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竹田 康平

竹田 康平

マーケティング支援者 / 喫茶店主

京都在住。2025年4月、チャメッケを開業。戦略立案から実行まで、一気通貫で対応します。喫茶ふでまめ店主でもあります。

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