BtoBのリード獲得施策9つを費用と着火速度で比較|選ぶ順番

BtoBのリード獲得で最初に詰まるのは、施策を知らないことではありません。
展示会、リスティング広告、ウェビナー、ホワイトペーパー、SEO、テレアポ。
名前は全部知っているのに、人も予算も限られている状態で「どれから手をつけるか」が決められない。
私が相談を受けるときも、いちばん多いのはこの状態です。

世の中に出ているBtoBリード獲得の記事は、MAツールやABMを前提にした大企業向けのものが目立ちます。
担当者が5人いて、年間予算が数千万円ある会社の話です。
けれど実際に困っているのは、マーケ担当が0.5人分しかいない会社や、社長が営業と制作を兼ねている会社のほうが多いように感じます。
そこに向けた「選び方」の記事が、驚くほど見当たりません。

そこでこの記事では、BtoBのリード獲得施策を9つ挙げたうえで、「着火までの速さ」「1件あたりの費用感」「資産として残るか」という3つの軸で並べ替えます。
施策のカタログではなく、順番の決め方をお渡しするのが狙いです。
後半では「リードは取れているのに商談にならない」という定番の詰まりについても、どこを見ればいいかを整理しました。

この記事の結論

BtoBのリード獲得は、施策の良し悪しではなく「着火の速さ」「1件あたりの費用感」「資産として残るか」の3軸で並べると順番が決まります。
人と予算が小さい会社は、まず着火が速くて外注しなくても回る施策(紹介・アウトバウンド・リスティング広告)で商談の場数を作り、そこで得た言葉を使って資産型(検索・ホワイトペーパー・メルマガ・AI検索経由)を積むのが現実的です。
9施策を同時に走らせるのは、担当が1人以下の会社ではまず破綻します。
着火型を1つ、資産型を1つ、合計2つに絞るところから始めてください。
また、リードが増えても商談が増えない場合、原因は集め方ではなく「リードの定義」と「初回接触の速さ」にあることがほとんどです。
費用は条件で大きく変わるので、この記事の金額はすべて幅で書いています。

もくじ
  1. リード獲得施策は3つの軸で並べると迷わない
  2. BtoBリード獲得9施策を3軸で比較した一覧表
  3. すぐ火がつく3施策の使いどころと落とし穴
  4. 時間はかかるが資産として残る4施策
  5. ウェビナーと展示会の使いどころと判断基準
  6. 人が少ない会社が手をつける順番と12か月の並べ方
  7. リードは取れるのに商談にならないときに見る場所
  8. よくある質問

リード獲得施策は3つの軸で並べると迷わない

施策の一覧を眺めても順番は決まりません。
比べる物差しがないからです。
私が支援の現場で使っているのは、次の3つの軸だけです。
この3つに固定してしまうと、9つあった選択肢が一気に整理されます。

軸1・着火までの速さ(何日で最初の1件が出るか)

着火までの速さとは、始めてから最初のリードが出るまでの時間のことです。
電話や手紙を送るアウトバウンドなら、その日のうちに反応が返ることもあります。
リスティング広告は入稿してから数日、展示会は出展が決まってから開催日まで数か月。
検索(SEO)は記事を出してから評価が動き出すまでに、体感で3か月から半年はかかります。

ここで大事なのは、速いほうが偉いわけではないという点です。
速い施策は、止めた瞬間にリードもゼロに戻ります。
逆に遅い施策は、立ち上がるまで我慢が要る代わりに、動き出したあとは放っておいても効き続けます。
この非対称性を理解しないまま「早く成果が欲しい」と検索に手を出すと、3か月で心が折れます。

軸2・1件あたりの費用感は「お金」だけでは測らない

1件あたりの費用感は、支払う金額だけで見ると判断を誤ります。
人が少ない会社では、時間のほうが希少な資源だからです。
たとえば手紙を書いて送る施策は、外に払うお金はほとんどかかりません。
けれど宛先を調べて文面を変えて封をする時間は、誰かの半日をまるごと食います。

私は「金銭コスト」と「自分の時間コスト」を分けて見るようにしています。
お金が出せない会社は時間で払い、時間がない会社はお金で払う。
どちらも足りないときは、施策の数を減らすしかありません。
減らす判断ができるかどうかが、小さい会社のリード獲得ではいちばん効きます。

軸3・やめたあとに何が残るか(資産性)

3つ目は、施策をやめたあとに何が手元に残るかです。
広告は出稿を止めれば流入も止まり、残るのは配信データくらいです。
展示会は名刺が残りますが、その名刺は翌年には古くなります。
一方、記事やホワイトペーパーやメールリストは、作った時点で自分の持ち物になります。

資産性の高い施策は、時間が経つほど1件あたりの費用が下がっていきます。
1年目は割高でも、3年目には広告よりずっと安く見えることがある。
ただし途中でやめると、積み上げた分がそのまま止まります。
資産型は「続けられる量」で設計するのがコツです。

BtoBリード獲得9施策を着火の速さと資産性で配置した図 横軸は着火までの速さで、右に行くほど最初のリードが早く出ることを表す。縦軸は資産として残る度合いで、上に行くほど施策をやめたあとも効果が残ることを表す。資産型は左上から中央上にかけて並び、検索(SEO)、AI検索経由、メルマガ・育成、ホワイトペーパーの4つが入る。中間型は中央右で、ウェビナーと展示会が入る。着火型は右側で、紹介・パートナー、リスティング広告、アウトバウンドの3つが入る。紹介・パートナーは着火型のなかでは関係が残るぶん位置がやや上、リスティング広告とアウトバウンドは止めると残らないため右下になる。小さい会社は着火型から1つ、資産型から1つを選んで組み合わせるとよい。 9施策を「着火の速さ」と「資産性」で置いてみる 資産として残る度合い 検索(SEO) メルマガ・育成 AI検索経由 ホワイトペーパー ウェビナー 紹介・パートナー 展示会 リスティング広告 アウトバウンド 着火が遅い 着火が速い 横軸:着火までの速さ(右ほど速い)
図1: 9施策の位置づけ。この記事では、着火型(紹介・パートナー/アウトバウンド/リスティング広告)、中間(ウェビナー/展示会)、資産型(検索/ホワイトペーパー/メルマガ・育成/AI検索経由)の3つに分けて解説します。黄色は9つ目に加えたAI検索経由。配置は筆者の支援経験にもとづく整理で、業種や商材によって変わります。

用語解説:リード(見込み客)

リードとは、名前や会社名や連絡先といった「こちらから接触できる情報」を残してくれた人のこと。
名刺交換、フォーム送信、資料ダウンロード、ウェビナー申込などが該当します。
ただの訪問者はリードではありません。
この線引きが曖昧なままだと、あとで「リードは増えたのに商談が増えない」という話になります。

BtoBリード獲得9施策を3軸で比較した一覧表

表の見方・3つの軸が何を表しているか

3つの軸で9施策を並べたのが次の表です。
費用は条件によって大きく振れるので、幅で書いています。
商材の単価、地域、競合の多さ、社内にどれだけ人がいるかで結果は変わります。
ここに書いた数字は「その桁で考え始める」ための目安として読んでください。

施策着火の速さ1件あたりの費用感資産として残るか向いている場面
①検索(SEO・記事)遅い(3〜6か月〜)初期は割高/続くほど下がる強く残る説明が必要な商材。指名検索を育てたい
②リスティング広告速い(数日)数千円〜数万円/件の幅ほぼ残らない今すぐ客がいる顕在キーワードがある
③ホワイトペーパー中(1〜2か月)制作の時間が主コスト残る検討初期の人の連絡先を取りたい
④ウェビナー中(1〜2か月)集客経路の費用に依存録画は残る話したほうが伝わる商材
⑤展示会中(出展まで数か月)出展料+人件費で高くなりやすい名刺は残るが古くなる業界が明確で来場者と一致する
⑥メルマガ・ナーチャリング中(リストが要る)低い(時間コスト中心)強く残る検討期間が長い商材
⑦紹介・パートナー速い(数日〜数週)ほぼ無料〜レベニューシェア関係として残る実績がある。人脈が業界内にある
⑧アウトバウンド速い(当日〜)低い(ただし時間を大量に使う)ほぼ残らないターゲット企業を名指しできる
⑨AI検索経由の流入遅い(半年〜)検索施策に相乗り強く残る比較検討をAIに聞く層を取りたい
表: 9施策の比較。太字は「人と予算が小さい会社にとって特に効きやすい」と私が考えるもの。金額は条件で大きく変わるため幅で記載しています(2026年7月時点の筆者の整理)。

どこを見て9施策を2つに絞るか

絞り込みで見るのは、表の縦のならびではなく横の性質です。
着火型と資産型を1つずつ持てているか、という一点だけを確認してください。
ここさえ守れていれば、どの施策を選んでも大きくは外れません。

表の読み方は「1行ずつ」ではなく「上下の組み合わせ」

この表を上から順に検討して、点数の高いものを選ぶ、という読み方はおすすめしません。
選ぶべきは「着火が速い施策1つ」と「資産になる施策1つ」の組み合わせです。
速い施策は今月の商談をつくり、資産型は来年の商談をつくる。
片方だけだと、資金が持たないか、いつまでも自転車操業のどちらかになります。

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すぐ火がつく3施策の使いどころと落とし穴

まずは着火の速い側から見ていきます。
紹介・パートナー、アウトバウンド、リスティング広告の3つです。
この3つは「今月なんとかしたい」に応えられる代わりに、止めれば元に戻るという共通点があります。

紹介・パートナーは最も安く、成約まで進みやすい

意外に思われるかもしれませんが、小さい会社でいちばん先に手をつけるべきは紹介です。
費用がほぼかからず、着火も速い。
私が支援してきた範囲では、成約まで進む割合が他の経路より高い傾向があります。
すでに取引のある会社、同業だが競合しない会社、前職のつながり。
この3か所に「こういう相談があれば声をかけてほしい」と具体的に伝えるだけで、動くことがあります。

コツは、頼み方を抽象的にしないことです。
「何か案件あったら」ではまず動きません。
「従業員30人くらいの製造業で、ホームページから問い合わせが来ないと困っている会社」くらいまで絞ると、相手の頭の中で顔が浮かびます。
紹介が動かない会社は、人脈がないのではなく、頼み方が漠然としているだけということが多いです。

アウトバウンドは「量」ではなく「名指し」で使う

手紙、メール、電話といったアウトバウンドは、嫌われがちですが着火は最速です。
ただしリストを買って一斉に送る使い方は、小さい会社には向きません。
数を打つ体力がないからです。
代わりに、取りたい企業を20社だけ名指しして、1社ずつ内容を変えるやり方をおすすめしています。

相手のサイトを見て、気づいたことを1行書く。
それだけで返信率が変わる実感があります。
時間はかかりますが、20社なら1日で終わります。
反応の有無にかかわらず、この作業をやると「自分の言葉でターゲットを説明できる」ようになるのが副産物として大きいと感じます。

リスティング広告は顕在キーワードだけに絞る

リスティング広告は、入稿すれば数日で流入が始まります。
小さい会社が失敗するのは、広く配信しすぎるときです。
「BtoB マーケティング」のような広い語で回すと、予算が数日で溶けます。
「サービス名+比較」「課題+業者」「地名+サービス」のような、今すぐ探している人の語だけに絞ってください。

BtoBのリスティングは、1件あたり数千円で収まることもあれば、数万円を超えることもあります。
単価の高い商材ほど許容できる金額も上がるので、まず「1件いくらまでなら払えるか」を先に決めるのが順序です。
その金額を決めずに走らせると、高いのか安いのか判断できないまま予算だけ減っていきます。
成果には個人差があります、というより業種差・商材差が非常に大きい領域です。

筆者

竹田康平

相談を受けて最初にお聞きするのは「直近3件の受注はどこから来ましたか」です。
ほとんどの会社が紹介か既存客からの追加と答えます。
それなのに施策の話になると、いきなり広告や展示会の検討が始まる。
いま効いている経路を太くするほうが、新しい経路をゼロから作るより何倍も速いです。

時間はかかるが資産として残る4施策

次は図1の上側、つまり立ち上がりは遅いけれど積み上がる側です。
検索(SEO・コンテンツ)、ホワイトペーパー、メルマガ・ナーチャリング、そしてAI検索経由の流入の4つ。
この4つは、着火型で稼いだ時間とお金を投じる先だと考えてください。
最後のAI検索経由は他の3つとやることがかなり重なるので、まとめてこの章で扱います。

検索は9施策の中で最も遅く、最も長く効く

検索経由のリード獲得は、9施策の中でいちばん立ち上がりが遅い施策です。
記事を出してから検索結果での評価が固まるまで、私の実感では3か月から半年。
その代わり、いったん上位に入った記事は数年にわたって問い合わせを運び続けます。
広告を止めれば流入がゼロになるのとは、性質がまったく違います。

この記事は施策の選び方が主題なので、BtoBで商談につながるキーワードをどう設計するかは別記事に譲ります。
具体的な進め方はBtoB SEOの進め方|商談につながるキーワード設計にまとめました。
また、記事を継続的に出す体制づくりはオウンドメディア立ち上げ7手順が参考になります。
月に使える時間が8時間しかない、という前提での優先順位づけは中小企業のSEO施策|月8時間で回す優先順位をご覧ください。

ホワイトペーパーは迷っている人の連絡先を取る

ホワイトペーパーは、資料と引き換えに連絡先をもらう仕組みです。
「問い合わせ」までは踏み切れないけれど情報は欲しい、という段階の人を捕まえられます。
BtoBは検討期間が長いので、この層を拾えるかどうかで年間のリード数がかなり変わります。
作るのに時間はかかりますが、一度作れば何年も使える点で資産型です。

中身は立派である必要はありません。
営業がいつも口頭で説明していることを、そのまま10ページくらいに落とすだけで成立します。
チェックリスト、費用の内訳、失敗事例の型、比較の観点。
この4つはどの業種でも需要があります。

メルマガは獲得ではなく忘れられないための施策

メルマガやナーチャリングは、新しいリードを取る施策ではありません。
すでに持っている名刺やリードを、腐らせないための施策です。
BtoBの検討は半年から数年かかることがあるので、その間ずっと存在を思い出してもらえるかどうかが効きます。
実際、名刺交換から1年以上たって問い合わせが来ることは珍しくありません。

頻度は月1回で十分です。
売り込みを書くと解除されるので、記事の要約や現場で気づいたことを短く送るくらいがちょうどいいです。
コストはほぼ時間だけなので、小さい会社との相性は良い施策です。
問い合わせの受け皿そのものが弱い場合は、先にホームページで集客できない7つの原因を確認しておくと無駄打ちが減ります。

AI検索経由は「比較検討をAIに聞く層」を拾う経路

9つ目に挙げたいのが、ChatGPTやGemini、Perplexityといった生成AI経由の流入です。
他の記事ではあまり触れられていない経路なので、少し丁寧に書きます。
BtoBの担当者が「◯◯を導入したいが、どの会社が良いか」「◯◯と△△の違いは」とAIに聞き、そこで名前が挙がった会社を検索してサイトに来る。
この動きが、ここ1〜2年で増えてきたと感じています。
私は自分のサイトの主要キーワードを、ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityの4エンジンで月次トラッキングしていますが、記事を出したあとにAIの回答に名前が出るようになる、という順番が確認できています。

この経路が面白いのは、AIに引用されるための下準備が、検索対策とほとんど同じだという点です。
読み手の質問にきちんと答える構成にして、比較や費用を表で整理して、誰が書いたかを明示する。
AIも人間も、あいまいな文章より整理された文章のほうが引用しやすいという点では同じです。
つまり資産型の施策を1つやると、検索とAI検索の2経路が同時に育つことになります。

ただし、AI検索経由は流入の総数がまだ小さく、計測もしづらい経路です。
ここだけを狙って予算を割く段階ではないと考えています。
検索施策のついでに設計を整えておく、という距離感がちょうどいいです。
考え方の全体像はAIに推薦されるには?LLMO・AIO対策の教科書にまとめているので、そちらを読んでから判断してください。

この記事でできないこと・資産型の限界

資産型の施策は、資金繰りが苦しい会社の今月の売上を助けません。
検索もホワイトペーパーもメルマガもAI検索経由も、効き始めるまでに数か月から1年かかります。
「あと3か月で新規が取れないと厳しい」という状況なら、この章の施策は後回しにして、着火型に全振りしてください。
順番を間違えると、資産が積み上がる前に体力が尽きます。
また、ここに書いた期間はあくまで私が見てきた範囲の目安で、競合の状況や既存サイトの状態によって個人差があります。

ウェビナーと展示会の使いどころと判断基準

残る2つは、ウェビナーと展示会です。
どちらも着火の速さと資産性が中くらいで、着火型と資産型のあいだに位置します。
準備の負荷が高いぶん、やるかやらないかの判断を先に済ませておきたい施策です。

ウェビナーは集客経路がないと成立しない

ウェビナーの落とし穴は、開催そのものではなく集客です。
自社のリストが小さいうちに単独開催すると、参加者が数名という結果になりがちです。
小さい会社が最初にやるなら、同じ顧客層を持つ別の会社との共催が現実的です。
相手のリストにも案内が回るので、集客の負担が軽くなります。

録画を残せば、そのままホワイトペーパー的にも使えます。
1回の準備で「当日のリード」と「あとから見る人のリード」の両方が取れる。
この二重取りができる点で、ウェビナーは中間より少し資産寄りだと考えています。

展示会は費用の桁が違うので条件を先に決める

展示会は、出展料に加えてブース施工、什器、印刷物、当日の人件費、交通費と、費用が積み上がります。
私が見てきた範囲では、小規模なブースでも数十万円から、規模によっては数百万円まで幅があります。
展示会の規模・会場・小間数で大きく変わるので、主催者の出展要項で確認してください。
名刺の枚数は稼げますが、そのうち商談になるのは一部です。
「何枚集めたか」ではなく「何件商談になったか」で評価しないと、翌年また同じ出費を繰り返します。

出るなら、来場者と自社のターゲットがどれだけ重なるかを事前に確認してください。
業界が明確に一致していれば強い施策ですが、少しでもずれると回収が難しくなります。
人が少ない会社では、当日にブースに立てる人数の制約も現実的な問題です。

用語解説:MQLとSQL(噛み砕くと)

MQLは「マーケティング側が、そろそろ営業に渡していいと判断したリード」のこと。
SQLは「営業が実際に会って、商談として進める価値があると認めたリード」のことです。
横文字は面倒ですが、要は「渡す側の基準」と「受け取る側の基準」を分けているだけ。
この2つの基準がずれている会社は、リードは増えても商談が増えません。

人が少ない会社が手をつける順番と12か月の並べ方

ここまでの内容を、実際の順番に落とします。
前提は「マーケ専任がいない、あるいは0.5人分程度」の会社です。
同時に走らせる施策は、最大でも2つ。
これ以上増やすと、どれも中途半端になって効果の判断がつかなくなります。

1〜3か月目・紹介依頼とホームページの受け皿整備

最初の3か月でやるのは、紹介の依頼と、サイトの受け皿の整備です。
紹介は費用がかからず着火が速いので、いちばん先に手をつけます。
同時に、問い合わせフォームまでの導線と、サービスページの説明を直しておく。
ここが弱いままだと、どの施策でリードを増やしても穴の空いたバケツになります。

この時期に、取りたい企業像を紙に書き出しておくのも大事です。
業種、規模、抱えている課題、決裁者の役職。
これがないと、次の広告も記事も的が絞れません。
紹介を頼むときの説明文が、そのままターゲット定義になります。

4〜6か月目・着火型を1つ足しながら記事を始める

4か月目からは、着火型をもう1つ足します。
顕在キーワードがある商材ならリスティング広告、名指しできる企業があるならアウトバウンド。
どちらか片方で構いません。
並行して、資産型として検索(記事)を静かに始めます。

記事は月2本でも十分です。
本数より、着火型で得た「実際に聞かれた質問」を記事にするほうが効きます。
商談で3回聞かれた質問は、検索でも聞かれている質問です。
ここが着火型と資産型をつなぐ、いちばんおいしい部分です。

7〜12か月目・資産型を厚くして取りこぼしを拾う

後半は、資産型を厚くします。
記事に来た人のうち、問い合わせまでは至らない大多数を拾うためにホワイトペーパーを作る。
集まった連絡先に、月1回のメルマガを送る。
この2つが回り始めると、1年前に接触した人から突然問い合わせが来るようになります。

ウェビナーと展示会は、この段階以降で検討すれば十分です。
どちらも準備の負荷が高く、リストや実績がある状態でやるほうが費用対効果が上がります。
順番を守るだけで、同じ予算でも到達点がかなり変わります。
自社の場合はどの順番が合うか迷ったら、30分の無料相談で状況をお聞きしたうえで一緒に並べ替えます。

リードは取れるのに商談にならないときに見る場所

施策の話と同じくらい相談が多いのが、この詰まりです。
資料ダウンロードは月に何十件もあるのに、商談は月に1件も生まれない。
このとき、施策を増やしても状況は良くなりません。
見るべき場所は3つです。

リード獲得から受注までの流れと各段階で見る指標の図 左から順に、訪問・接触、リード化、商談、受注の4段階が矢印でつながっている。訪問・接触の段階ではセッション数、検索順位、AI検索の露出を見る。リード化の段階ではCVR、フォーム到達率、資料ダウンロード数を見る。商談の段階では商談化率、初回接触の速さ、リードの質を見る。受注の段階では受注率、平均単価、提案の型を見る。数字が落ちている段そのものではなく、その1つ手前の段を直すのが基本で、リードが増えても商談が増えない場合は集め方よりリードの定義を疑うとよい。 どの段で詰まっているかを指標で切り分ける ①訪問・接触 ②リード化 ③商談 ④受注 見る指標 ・セッション数 ・検索順位 ・AI検索の露出 見る指標 ・CVR ・フォーム到達率 ・資料DL数 見る指標 ・商談化率 ・初回接触の速さ ・リードの定義 見る指標 ・受注率 ・平均単価 ・提案の型 直すのは「落ちている段」ではなく、その1つ手前 リードが増えても商談が増えないなら 集め方よりリードの定義を先に疑う
図2: リード獲得から受注までの4段階と、各段で見る指標。黄色枠の③が、小さい会社でいちばん詰まりやすい段です。

1つ目・リードの定義が営業と揃っていない

いちばん多いのがこれです。
資料をダウンロードしただけの人と、見積もりを求めている人を、同じ「リード」として数えている。
この状態だと件数は増えますが、営業から見れば連絡する価値のない名前が並んでいるだけになります。
まず、どの段階を商談として扱うかを、営業側と一緒に文章で決めてください。

決め方はシンプルで構いません。
「予算の目安を答えてくれた」「検討時期を答えてくれた」「決裁に関わる人が出てきた」。
このうち2つ以上を満たしたら商談として扱う、といった具合です。
基準ができると、施策の評価軸も「リード数」から「基準を満たしたリード数」に変わります。

2つ目・最初の接触までが遅すぎる

2つ目は、リードが入ってから最初に連絡するまでの時間です。
BtoBでは、問い合わせた人は同じタイミングで他社にも問い合わせていることが多いです。
3日後に丁寧なメールを送るより、当日中に短い返信をするほうが商談になります。
ここは仕組みの問題なので、通知の設定と定型文を用意するだけで改善できることが多いです。

3つ目・そもそも集めている層がずれている

3つ目は、施策側の問題です。
広く受けるテーマの資料を配ると、リード数は増えますが、買う気のない層が大量に混ざります。
「初心者向け入門ガイド」より「導入前に確認する費用と社内調整のチェックリスト」のほうが、数は減っても質は上がります。
件数を追う設計をやめて、商談化率を見る設計に切り替えるのがここでの答えです。

数字を見る順番は「後ろから前へ」

改善するときは、受注に近い段から順に見ていくと無駄が減ります。
受注率が低いなら商談の質、商談化率が低いならリードの定義、リード化が低いならサイトの構成、訪問が少ないなら施策の量。
前から見ていくと「流入を増やす」という結論になりがちですが、多くの場合は後ろが詰まっています。
流入を2倍にするより、商談化率を2倍にするほうが、はるかに安く済みます。

ここまで読んで「うちはどの段で詰まっているのか判断がつかない」と感じたら、数字を見ながら一緒に切り分けるのが早いです。
状況をお聞きして、9施策のどれを削り、どれを残すかまで整理します。
相談はお問い合わせページから30分の枠でお受けしています。

AI検索からの入口が開いているか見る

BtoBの担当者が生成AIで比較検討する場面は、私の観測範囲でも増えてきました。サイトのURLを入れるだけで、AI検索への対応度を33項目でスコア化します。構造化データや見出し設計など、AIに読まれるための前提が整っているかを確認できます。診断は無料で、個人情報の入力は不要です。

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診断のあと、「次にやること」だけが届きます

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今週
かんたんな3つ30分〜1時間でできること
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紹介文やFAQなど、決まった欄に貼るだけの文例つき。
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よくある質問

BtoBのリード獲得は、結局どの施策から始めるのが良いですか?

人と予算が小さい会社なら、まず紹介の依頼から始めるのをおすすめしています。
費用がほぼかからず着火も速く、私が支援してきた範囲では成約まで進む割合が他の経路より高い傾向があるからです。
そのうえで、顕在キーワードがある商材ならリスティング広告、名指しできる企業があるならアウトバウンドを1つだけ足します。
資産型の検索やホワイトペーパーは、その後ろで静かに始めるのが順番です。

ホームページからの問い合わせを増やすには何をすればいいですか?

流入を増やす前に、受け皿の確認から始めてください。
サービスページで「誰の何を解決するか」が1画面で伝わるか、問い合わせフォームまでの導線が各ページにあるか、入力項目が多すぎないか。
この3つを直すだけで数字が動くことは珍しくありません。
受け皿の具体的な直し方はホームページで集客できない7つの原因の記事にまとめています。

リード1件あたりの費用は、いくらを目安にすればいいですか?

業界平均を探すより、自社の数字から逆算するほうが確かです。
平均受注単価に粗利率をかけ、そこから商談化率と受注率で割り戻すと、1件あたりに払える上限が出ます。
この上限を先に決めておけば、広告でも展示会でも「高いか安いか」を自分で判断できます。
金額は商材や地域で大きく変わるので、他社の数字をそのまま持ち込まないほうが安全です。

リードは増えているのに商談が増えません。どこを直せばいいですか?

まずリードの定義を、営業と一緒に文章で決め直してください。
資料をダウンロードしただけの人と、見積もりを求めている人を同じ枠で数えていると、件数は増えても商談は増えません。
次に、リードが入ってから最初に連絡するまでの時間を測ってください。
この2つを直しても変わらない場合は、集めている層そのものがターゲットとずれている可能性が高いです。

展示会には出たほうがいいですか?

来場者と自社のターゲットが明確に重なっているなら有効ですが、小さい会社では優先度を下げて構いません。
出展料に加えてブース施工、印刷物、当日の人件費が積み上がり、私が見てきた範囲では費用の桁が他の施策と変わってくるからです。
金額は展示会の規模・会場・小間数で大きく変わるので、主催者の出展要項で確認してください。
評価するときは名刺の枚数ではなく、そこから何件の商談が生まれたかで見てください。
1年目は小さめのブースで試し、商談数で判断するのが現実的です。

ChatGPTなどのAI検索経由のリードは、本当に増えているのですか?

流入の総数はまだ小さいものの、比較検討の段階でAIに聞いてから社名を検索する動きは増えています。
私は自分のサイトの主要キーワードをChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityの4エンジンで月次トラッキングしていて、記事を出したあとにAIの回答へ名前が出るようになる流れを確認しています。
ただし、この経路だけを狙って予算を割く段階ではありません。
検索施策の設計を整えると自然に効いてくるので、資産型の副産物と考えるのがちょうどいい距離感です。

施策はいくつまで同時に走らせていいですか?

マーケ専任がいない会社なら、同時に走らせるのは2つまでが現実的です。
着火型を1つと資産型を1つ、という組み合わせが扱いやすい形になります。
3つ以上に手を出すと、どれも中途半端になり、何が効いたのかの判断もつかなくなります。
効果が読めるようになってから、1つずつ足していくほうが結果的に速いです。

竹田康平

竹田康平

京都で屋号「チャメッケ」として、中小企業・個人店のAIO/SEO支援とAI導入支援を行う。自分のサイトでも同じ施策を実践し、検索とAI検索の両方から見つけてもらう状態を検証している。
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竹田 康平

竹田 康平

マーケティング支援者 / 喫茶店主

京都在住。2025年4月、チャメッケを開業。戦略立案から実行まで、一気通貫で対応します。喫茶ふでまめ店主でもあります。

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